娘が3歳くらいの頃、私は友人の家で、娘を他の子供たちと遊ばせていました。
一歳を少し過ぎたばかりの友人の一番下の息子は、私の娘とおもちゃを共有したがりませんでした。彼は何度もおもちゃを奪い取り、押しのけた後、最終的には娘の頭を繰り返し蹴り、噛みつき、娘の皮膚にいくつもの赤い怒りの痕を残して、私の子供はしばらく泣き叫ぶこととなりました。
彼の両親からの謝罪は、「男の子は男の子だから」というふうなもので、私たちは娘に対する彼からの当たり前の攻撃に過剰反応するべきではない、とのことなのです。
私たちの娘が繊細すぎて、私と私の夫は過保護だという意味のことさえ言われたのです。
私たちは、小さな子供たちが社交性を学ぶ過程で、癇癪を起こすことがあることはもちろん理解しています。だからといって、彼の両親は私たちにそれをただ当たり前のように無視しろというのでしょうか?
それとも、私たちの小さな娘が彼の怒りに触れないように努力すべきなのですか?
彼の両親によれば、その息子は自然に攻撃的で、かねがねひどい癇癪持ちで、自分の兄弟や両親にもいらだちをぶつけることもあったそうです。でもこれは彼の男の子としての性格の一部だと受け入れられているらしいのです。
だから、その子がなにかに対する不満を表現するために暴力に依存しても良いと考え成長して、暴力的な態度で行動したとしても、だってほら、「男の子は男の子だから」?

悪い行いを無視しないで
もちろん、親として意図的に子供が他の人に向かって攻撃的になることを励ましたりはしないし、感情の爆発を可愛らしいと思うこともないでしょう。
息子が飼い犬の尻尾を引っ張ったり、おもちゃを彼の姉の顔に投げたり、大きくなってからあなたの財布からお金を盗んで家を抜け出して友達と街を遊び歩いたりしても「男の子は男の子だから」なんて言い訳は使わないでしょう。
しかし問題は、この表現と精神が私たちの社会に存在し、男の子や男性の粗悪な行いや短所を正当化するために何度も使われてきたことです。
攻撃的であったり、暴力的傾向や、物を壊したり、無鉄砲な行動や、荒っぽいこと、公平なセックスをしようとしても一線を越えたり、お粗末な選択の数々もどうやら「男の子は男の子だから」当たり前なんですって!
このような考え方は、周囲の人にとって危険なだけでなく、実際にあなたの息子にとっても大きな不利益をもたらします。
それは良いことどころか害をもたらします
性的ステレオタイプによって、女子はさらに女性らしく、男子は怖いもの知らずで、男らしくと常に言われ続けます。
もしあなたの息子が夕食後の片付けを拒否し、テレビを見に走り、代わりにあなたの娘がテーブルをきれいにして食器を洗うのを手伝わなければならなくても、 "男の子は男の子だから"と肩をすくめていて、彼が結婚したときに、公平に家事の分担をしようとしても妻が(たとえ彼女が働くママであったとしても)すべてをやるものと考え、指一本も動かさなくても驚かないでください。
もしあなたの息子が学校で女の子を執拗にいじめても、彼がその女の子を好きで気持ちを表現しているだけで、結局「男の子は男の子だから」と真剣に受け止めず、彼が女の子や女性に身体的危害を加えたり、さらにセックスをするために最悪の形で一線を越えたとしてもショックを受けないでください。
もしあなたの息子が、破壊行為や、公的迷惑、万引きや他の軽犯罪のために捕まっても、あなたは「男の子は男の子だから」と理論づけようとして、あなたは再発防止のための努力を怠ったとして、彼がこのような犯罪を繰り返し、反省や後悔が見られなくても驚かないでください。
この考えでいけば、男の子は何かに大きく心を乱されたとしても感情的になったり涙を流したりはできません。「女の子のようなことはするな」と言われてしまうからです。
いくら興味を持っても、バービーで遊んだり、バレエのレッスンを受けたり、裁縫を学んだり、女の子らしい遊びは、反対されます。
何も悪いことをしていないのに学校でいじめの対象になったとしても、立ち向かったり、やり返したりしないのは女々しいからと、同情などはしてもらえません。
こういったことによって、男の子は、女の子になることが世界で一番最悪なことだと考え育ちます。

二重基準は止めましょう
「男の子は男の子だから」という表現を使用、または単に無意識のうちに心の奥に深く刻まれていることによって、あなたは:
- 息子の悪行を直す代わりに、許容する
- 性差別を永続させる
- 自分の行動に対して責任を負わないように教える
- 意図せず彼の人生の失敗を導く
男の子でも女の子でも、子供たちは間違った行動をしたり、家事から逃れたり、友達や兄弟姉妹と喧嘩をして大混乱を起こすでしょう。
あなたの娘がなにか間違ったことをして叱責や罰を受けたとして、あなたの息子は同様のことをしてもお咎めなしですか?自分の胸に手を当てて聞いてみてください。
私たちは皆子供を愛し、彼らにとって最善のもののみを求めています。あなたの息子に、自分の行動に責任を負うという貴重な教訓を教えてあげてください。
男で、家父長制社会に住むからといって、優位に立ったり、物事から逃げられることを期待するべきではないと教えてあげてください。
彼がきちんとふるまえなかったり、間違ったことをしたら、それに相対する結果が生じることを理解させてください。
それが本当の人間としてのあり方ではないでしょうか。