良い睡眠をつくるものはなんでしょうか?

良い睡眠とはすっきりする睡眠です。良質で十分な睡眠の信頼できる指標は、自然に目が覚め、すっきりとしていること、また日中、午後の過度な眠気を感じないことです。

 

毎晩の睡眠はどのくらい取るべきですか?

 

睡眠の必要条件は年齢によって異なります。新生児は一日を通して16〜20時間の睡眠が必要とされます。幼児は夜間を中心に12〜14時間、幼児は10時間以上必要とされます。小学校に通う子供は9〜10時間、思春期の子供は8〜9.5時間は睡眠時間を取るべきです。成人の場合は、6〜10時間の間で個人差があります。中にはわずかな睡眠で1日を切り抜けることを自慢に思う人もいますが、睡眠時間が5〜6時間未満の人のほとんどが、おそらく十分な睡眠を取れていません。

 

 

爽快さや休息感の他に、推奨されている睡眠時間を取る利点はあるのでしょうか?

 

睡眠の目的は、心身のための休息と回復であると考えられており、睡眠不足は脳の機能に大きな影響を与えます。良質で十分な睡眠を得た後の目覚めは、とてもさわやかに感じるはずです。これは、私たちが心身ともに最大の力を発揮できることを意味します。規則正しい良質な睡眠は、毎日の生産性を上げ、生活の質と健康を著しく向上させます。

 

どこからが睡眠過剰になるでしょうか?寝過ぎは体に悪い?

 

ほとんどの人には1日10時間以上の睡眠は不必要です。過剰な睡眠は、睡眠不足の場合と同様に死亡率の増加に影響しています。睡眠を多く必要とする人は、閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)や、過度の日中の眠気や睡眠発作を特徴とする一次睡眠障害「居眠り病」の可能性があります。

 

夜に6-8時間よりも長く眠る『ロングスリーパー』と呼ばれる特殊なグループに属する人々は、日常的に休息感を得るには10〜12時間以上の睡眠を必要とします。OSAのような病気の可能性もあるため、睡眠時間が異常に長い(10時間以上を必要としたり、疲れている)大人は、医師の診察を受けることをお勧めします。

 

文化によっては短い昼寝(「シエスタ」)を推奨しています - 昼寝をしたくなるのは当たり前?できる時にはした方がいい?

 

午後の眠気は「生理学的」です。つまり、それは正常な体内時計の機能の一部なのです。24時間の間に午後と夜の就寝時に2回眠くなる傾向にあります。前夜に十分な睡眠を取っていない睡眠不足の人(現代の急速に変化する社会では頻繁に起こりがち)にとっては、生理学的眠気が起こる午後の昼寝は非常に爽快に感じられます。短い昼寝が、睡眠不足を解消し、「再充電」され、残りの1日をさらに活発に過ごせるようになります。したがって、短い午後の昼寝は、夜間に十分な睡眠を得られない傾向のある忙しいスケジュールの人にとっては利点があるといえるでしょう。

 

多くの大人は、毎日6時間以下の睡眠でさらに残業に堪えています。そういった人への睡眠専門医のアドバイスとは?

 

多くの人々は、多忙なスケジュールと自分の時間への要求を持っています。例えば、幼い子供を持ち会社員として働くママです。そのような人にとっては、6〜8時間の睡眠ですら不可能と思われます。

 

そのような場合「睡眠教育」と呼ばれるものから始めます。つまり、どんな理由であれ睡眠不足は精神的、情緒的、肉体的な健康に重大な損害を与えるため、長期的にみて非生産的であることを理解させます。言い換えれば、実際に必要以下の休息で働き続けることは非効率的であり、また心臓病や、うつ病、糖尿病、さらには早死などの深刻な病気にかかるリスクを高めます。

 

働きすぎて睡眠不足に陥り、健康に支障をきたしてしまっては意味がありません。どんなに得るものがあったとしても、結局失うものの方が大きくなってしまうからです。睡眠不足による健康被害を患者が真に理解すると、毎日なんとしてでも睡眠を得るようになります。知識を広めることが、人々のより良い選択への手掛かりとなります。

 

 

週末に寝溜めをして睡眠不足を補うことはできますか?

 

睡眠負債は蓄積していきます。睡眠時間が少なくなっていくにつれて、体はこの負債がなくなるまで眠るようさらに "圧力"をかけてきます。例えば翌日に多めに寝たり、午後の昼寝をしたり、週末に遅くまで寝たりをして、この負債をなくすこともできます。

 

睡眠負債の影響を減らすための一般的な方法の1つは、主にカフェインなどの覚醒作用がある非薬物の使用です。これらは数時間にわたる覚醒状態を保ちますが、最終的には睡眠不足が重大な健康上のリスクに関係しているため、長期的な解決策として推奨されません。カフェインの使用は一時的な解決にしかなりません。

 

睡眠を誘発するために夕食時や就寝前に摂取するべき食べ物がありますか?逆に、就寝前に避けるべき食べ物は?

 

セロトニン(正常な睡眠に重要な神経伝達物質)の前駆物質であるトリプトファンを含む食品は、私たちの睡眠を助ける食物であると言われています。トリプトファンに豊富に含まれる食物は、牛乳、卵、鳥肉およびピーナッツなどがあります。このように宣伝されている食品は、理論的裏付けにかかわらず、その効果はあったとしてもごくわずかです。

 

私たちは睡眠を促すための特定食品(ホットミルクを除く)の摂取は特に効果的な方法ではないため定期的な推奨はしていません。逆に、カフェインやアルコールなどの睡眠を妨害する食べ物は、睡眠障害を持つ患者には、就寝前の摂取を控えるよう指導をしています。一般的に、患者には胃酸逆流(食後消化のために分泌される胃酸の逆流-食道で「胸焼け」を引き起こす)を防止するために、就寝前(すなわち、就寝時間の2〜3時間前)の重い食事は勧められていません。

 

7〜8時間の睡眠が取れていれば、就寝時間は関係ない?

 

成人が夜間の約6〜8時間に一度にまとめて睡眠をとることは最も本能的で自然なことです、私たちが最も眠くなる時間(通常ほとんどの人は午後10〜12時から午前6時〜8時)を決める自然な生物学的リズム(「概日リズム」) によるためです。

 

一部の人々の概日リズムは早まっていたり遅れたりしています。例えば、高齢者に多い午後6時から午前2時、または3時(「早寝、早起き」)に眠る人、 一方で10代に多い、午前3時から午前11時(「遅寝、遅起き」)に眠る人です。日中の社会的/職業的要件に適合できていれば、医学的健康の観点からは、必要な睡眠量を得ている限り、何時に眠りにつくかは重要ではありません。

 

 

私は毎晩8時間寝ますが、それでも目を覚ますと疲労感が残っており休息感が感じられません。これはなぜでしょうか?

 

適切な睡眠時間を取っているにもかかわらず、目覚めが悪い原因は、睡眠障害や気分障害、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(睡眠中に上部気道が閉塞するため、睡眠中の頻繁な呼吸障害や、まとまった深い睡眠を妨害し、いびきや日中の過度の眠気などの症状を引き起こす。)、またはうつ病や不安障害などの可能性を示唆します。これらは目覚めの悪さを引き起こす最も一般的な疾病です。毎晩8時間眠っているにもかかわらず、疲れがとれず、休息感が得られない場合は医師に相談して医学的診断を受けることをお勧めします。

 

私たちの頭脳を最高の状態に保つためには、どうすればよいでしょうか?

 

規則的に十分な睡眠を取ることは、最適な脳機能のための最も重要な必要条件の1つです。脳はまた、栄養欠乏(例えば、ビタミンや他の栄養素の欠乏)が神経細胞の機能に影響を及ぼす可能性があるため、バランスのとれた食事が必要です。そして、身体的および精神的両方の「運動」を必要とします。。定期的で健全な運動は、深い眠りを促進し、精神的健康を向上させます。

 

精神活動には、脳の両側をつかう継続的な学習、すなわち言語や、科学、音楽、舞踊、美術などの芸術など多様な科目が含まれます。彼らは身体を動かし、複雑なステップを思い出すなどの学習/記憶を伴う舞踊のように、私たちの肉体的能力と精神的能力を同時に要する活動は特に脳に有益です。

 

 

より良い睡眠のためのコツ

 

1. 就寝 - 起床スケジュール:週末を含め、毎晩同じ時間に寝て、同じ時間に起きる。就寝と起床について規則的なスケジュールを立ててみてください。あなたの概日(「体内」)時計を固定し、一貫した睡眠リズムを確立するのに役立ちます。

 

2. 寝室での活動:ベッドと寝室は睡眠とセックスのためだけにする。20分後経っても眠れない場合は、ベッドから出て、軽い読書や(刺激的なもの以外)テレビ番組を見ながら、寝室の外でリラックスしてできる活動をしてください。眠気を感じたときだけにベッドに戻る。ベッドでは、テレビ鑑賞や、読書、食事、勉強など睡眠に無関係な活動は、避けてください。

 

3.食べ物と飲み物:就寝前2時間は重い食事は避けてください。空腹で寝ることもないようにしてください。トイレに行くために目を覚まさないよう、就寝前には飲み物を避けてください。眠るためにアルコールを摂取したり、午後以降のカフェイン摂取(体内に10-12時間まで留まります)を避けてください。

 

4.就寝時の習慣:読書や、テレビ鑑賞、音楽鑑賞など、気分を落ち着けながら就寝準備をする習慣をつくる。心を落ち着かせて、深呼吸や、漸進的筋弛緩法、視覚心像などのリラックス方法を実践する時間を設ける。快適なベッドや室温、暗さなど睡眠に最適な環境をつくり、維持する。

 

5.昼寝:睡眠不足でない限り、長時間の昼寝は避ける。午後の昼寝は、20分から30分以下に抑える。

 

6.エクササイズ:深い眠りを促進するため定期的な運動が推奨されていますが、就寝前の激しい運動は避けてください。就寝4時間前の激しい運動は避ける。

 

執筆

リム・リー・リン医師

シンガポール睡眠学会 会長

MBBS、MRCP(英国)、MMed (内科学会)ABPN、ABSM、ABCN、ABEM(米国)

シンガポール神経&睡眠センター、グレンイーグルス医療センター

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